偏差とは?トレードに役立つ知識まとめ

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この記事の所要時間: 333

値動きの予測を行う際に、現在までの値動きを一定の時間の幅で区切った範囲の平均を時系列的に計算した移動平均と、偏差とよばれる移動平均と値動きとのズレの大きさを示す偏差が重要です。これらを用いることで相場がトレードチャンスなのかそうでないのかの判断をすることができます。

偏差とは

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出典:pixabay

偏差は一言で言えば「偏りの度合い」という意味です。何を基準にした偏りかと言えば、平均に対する偏りです。よって、偏りの度合いを測る上で、平均が計算されている必要があります。

投資の世界では、偏差のことをボラティリティといい、取引が活況かどうかの尺度や、相場の体温のような意味で使われることがあります。買い志向が強いブル(強気)相場ではプラス方向に偏差が大きくなり、売り志向が強いベア(弱気)相場では、マイナスの偏差が大きくなる傾向があります。

偏差の計算方法

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出典:pixabay

偏差は平均値に対して、各データのズレの大きさを表す指標です。平均値が計算出来ていれば自動的に算出できると言えます。算式の形で示すと次のようになります。

  • あるデータ値の偏差=あるデータ値-平均値

FXや株など投資の場合、平均値が時系列に従って変化する移動平均を使いますので、その場合だと次のようになります。

  • あるデータ値の偏差=あるデータ値-移動平均値

移動平均値は、平均するデータをどの時間間隔によって平均するか、平均値を構成する各データについて時系列的に構成比率を変えていくのか、一定にするのかによって変わり、それに伴って偏差の数値も変化します。

標準偏差とは

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出典:pixabay

相場環境を分析する上で、個々のデータの偏差を計算してもあまり意味がありません。データ全体としての偏差を把握し、その尺度で相場を分析する方が合理的です。そこで必要となるのが標準偏差と呼ばれる指標です。

標準偏差は、各データの偏差の自乗を合計し、データ数で平均をとった後、平方根をとって計算します。算式で示すと次のようになります。

  • 標準偏差=(各データの偏差の自乗の合計÷データの数)の平方根

ランダムな動きである価格変動が、仮に正規分布という、平均値を基準にして釣り鐘のような形状で分布するとすれば、次のことが成り立ちます。

  • 標準偏差×(+1)~標準偏差×(-1)の範囲:全データ価格の68.26%がこの範囲に入る
  • 標準偏差×(+2)~標準偏差×(-2)の範囲:全データ価格の95.44%がこの範囲に入る
  • 標準偏差×(+3)~標準偏差×(-3)の範囲:全データ価格の99.73%がこの範囲に入る

例えば、直近の価格が標準偏差×(+3)~標準偏差×(-3)の範囲から逸脱した数字であれば、今後99.73%の確率で、標準偏差×(+3)~標準偏差×(-3)の範囲に戻ると予測することができます。

偏差の考え方を反映したインジケータ

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出典:pixabay

今後の価格変動の方向性を100%予測するのは困難ですが、確率的にどのくらいなのかについての見当をつける上で、標準偏差の考え方は、データが正規分布に従ってバラつくとの仮定が成り立つ場合に重要となります。

株式投資やFXは相場の分析に、インジケータと呼ばれるツールを用います。このインジケータの一番人気は移動平均線ですが、移動平均線に劣らず人気なのがボリンジャーバンドと呼ばれるインジケータで、このボリンジャーバンドには前述の標準偏差の考え方が反映されています。

まとめ

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出典:pixabay

偏差は平均に対するデータの離れ具合を示す尺度で、平均値の次に算出できる重要な指標です。データのバラツキが一定の分布に従っている場合において、価格の今後の方向性を確率を使って数値で把握できるメリットがあります。

ただし、実際の相場の値動きが常に一定の分布に従っているとは言えず、また偏差の数値自体が偏差の計算の前提となる平均値をどのように計算するかによっても影響を受けるため、どのような場合にも価格の今後の方向性を確率を使って数値で把握できるとは限らないことに注意が必要です。

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