失業率は暮らしに関係する経済指標として最も身近なものの一つ。仕事がなければお金が得られず生活していく上で大きな障害となります。失業率が低い国の通貨は経済が順調ということから買われやすく、失業率が高い国の通貨はリスクが高いと売られやすい傾向があります。
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失業率とは

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失業率とは働くことができる人に対する、仕事に就いていない人の割合で示される指標です。様々な事情から仕事をしたくなくて仕事に就いていない人を除くことが多いです。その理由は自発的に仕事をしないことは個人の自由と言える部分があるからです。
これに対して、働くことができ、働く意欲があるのに仕事に就けない場合は問題があります。こうしたことが起こる背景に、職を求める人の数に対して、職を提供できる事業者の数が不足していることがあります。
経済の状況と密接に関係するのが雇用です。雇用とは人を雇うこと、つまり雇う為に必要な給与や賃金の支払い能力が雇う側にあることが前提で、その前提のためには事業が順調に運営されていて、売り上げが安定して利益が出ていることが求められます。
失業率にもタイプがある

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職がないことを無職、仕事を失う場合を失業といいますが、この失業にもタイプがあることはご存じでしょうか。タイプとしては次の三つがあります。
- 自発的失業:景気と関係なく自己意思で失業を選んでいるタイプ
- 摩擦的失業:景気と関係なく生じるタイプの失業
- 非自発的失業:働く意思があるのに、自己意思に反して失業しているタイプ
摩擦的失業は求職者と求人側のマッチングがうまくいかないことにより生じます。要因別の失業のタイプの一つとも言えます。要因別の失業のタイプにはこれ以外に次の二つがあります。
- 需要不足失業:景気循環に伴い、求人数が求職数を下回ることで生じる失業
- 構造的失業:求人側が求める条件や能力と求職側の持っている条件や能力のミスマッチで生じる失業
様々な仕事があり、自分に合う仕事を探せる環境のもとで失業中という場合は良いのですが、仕事そのものがないという状況は社会問題となります。こうした場合には政府が様々な経済政策を講じる必要が出てきます。
失業率に関する用語

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失業率は雇用統計の一つ。失業率を改善させることは経済政策の大きな目標であることから、その算定において次に示すように用語の定義が定められています。
労働力人口
15歳以上の人口のうち,「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの(出典:総務省統計局)
就業者
「従業者」と「休業者」を合わせたもの(出典:総務省統計局)
従業者
賃金,給料,諸手当,内職収入などの収入を伴う仕事(以下「仕事」という。)を1時間以上した者(出典:総務省統計局)
休業者
仕事を持ちながら,調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち、雇用者で,給料・賃金の支払を受けている者又は受けることになっている者。自営業主で,自分の経営する事業を持ったままで,その仕事を休み始めてから30日にならない者。(出典:総務省統計局)
完全失業者
「仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった」「仕事があればすぐ就くことができる」「仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた」の3つの条件を満たす者(出典:総務省統計局)
完全失業率
「労働力人口」に占める「完全失業者」の割合(出典:総務省統計局)
失業率以外に重要な指標

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仕事に就いていても、給料や賃金が少ないと消費支出の拡大を通じた経済成長に結びつきません。よって失業率以外に給与や賃金に関する指標も重要です。こうした指標の一つに平均時給があります。雇用統計関連の経済指標として、失業率と合わせて公表されることが多いです。
失業率と値動き

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失業率が高いということは、事業者に雇用するだけの経営体力がないということ、また仕事に就けない人の増加は社会不安や消費の沈滞を高めるために、経済を急速に冷え込ませます。こうした状況下にある国の通貨は金利が低下していることが多いため、為替レートは切り下がる方向に動くことが多いです。
値動きは前回公表時の数値との比較、予想値と公表値の比較において差が大きければ、市場関係者に与える影響が大きくなり、大きな値動きを生じさせる傾向にあります。
まとめ

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失業率は一国の国民の暮らしに関係する経済指標として重要で、多くの国で雇用統計の公表の中で明らかになる経済指標です。特にアメリカの雇用統計において、公表の前後でアメリカドルは勿論、ユーロやポンド、日本円といった主要通貨の為替水準に大きな影響を及ぼすため、注目されています。

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