賃金に関する経済指標は重要?押さえたいポイント

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この記事の所要時間: 423

賃金に関する経済指標は、トレードする場合に要チェックです。賃金の伸びは生活水準の向上期待から、消費を喚起して経済の好循環を生み出す原動力となり、またそうした賃金を支払える背景として企業の業績が好調であると考えられます。賃金の伸びが高い国の通貨は、経済が好調という判断から買われることが多いです。

賃金とは

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出典:pixabay

賃金は働いた、仕事をしたといった「労働」という事業活動に必要な行動を行った見返りに得る対価です。事業にはお金や設備、道具といった資本、それ以外に労働力が必要で、労働力を買うために支出するコストが賃金となります。

賃金を支払うためには、賃金の支払いの根拠である付加価値の生産が必要です。より沢山の賃金が支払われるということは、それだけ多くの付加価値が生産されてる証と考えられ、経済が好調であるという判断の根拠の一つになります。

賃金と消費行動

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出典:pixabay

賃金は消費行動と密接に関係します。賃金が少なくても衣食住にはある程度のお金の支出が伴いますので、最低限度というものがあります。賃金が増えるに従って、消費は生活必需品から、普段は買えないようなモノ、サービスに移るようになり、こうした消費行動の変化は経済を成長させるエンジンになります。

賃金の水準は付加価値の生産が順調であれば上昇し、そうでなければ停滞します。停滞するものの、なかなか下げられないというのが賃金の特徴です。賃金を支払う人も受け取る人も暮らしがあるという事情の他、特に小さい会社では事業に必要な人を集めにくいといったこともあります。

賃金は人の消費行動やさまざまな事情を織り込んで、雇う側と雇われる側が対等な立場で合意して決めるのが前提で、賃金の伸びは経済成長の伸びを示す重要な指標と言えるでしょう。

賃金に関する取り決め

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賃金は雇う側、雇われる側双方の利害が対立することで、争いを生じやすいと言えます。よって日本では賃金に関し、最低限、守らなければならないことが決められています。

賃金支払いの5原則

賃金は、(1)通貨で、(2)全額を、労働者に(3)直接、(4)毎月1回以上、(5)一定期日を定めて支払わなければなりません。賃金から税金、社会保険料等法令で定められているもの以外を控除する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定が必要です。 (出典:厚生労働省

割増賃金

労働者に時間外労働、深夜労働(原則として午後10時~午前5時)、または休日労働をさせる場合には、会社は割増賃金を支払う必要があります(法定の労働時間を超えて労働させる場合、深夜労働させる場合:2割5分以上、法定の休日に労働をさせる場合:3割5分以上)。(出典:厚生労働省

休業手当

会社の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日について、平均賃金(※)の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません。 (出典:厚生労働省

最低賃金制度

使用者は、国が定める最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者の合意により定めたとしても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとされます。 (出典:厚生労働省

賃金に関する経済指標

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賃金に関する経済指標に次のものがあります。

平均時給(アメリカ合衆国)

非農業部門の平均時給について、当月と前年同月を比較してその変化を明らかにします。前年同月との比較で当月が100%を超えていれば、経済の状況が良好と判断され、アメリカドルが買われることが多くなります。

平均週給、定期賃金(イギリス)

平均週給、定期賃金はボーナス以外の給与、賃金を当月と前年同月を比較してその変化を明らかにします。自営業者や軍人など一部の人の給与や賃金は含まれません。前年同月との比較で当月が100%を超えていれば、経済の状況が良好と判断され、ポンドが買われることが多くなります。

賃金と値動き

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賃金に関する経済指標は、値動きに密接に関係します。適度な賃金上昇は、消費行動を通じて経済を活性させると理解され、通貨レートを押し上げることがあります。ただし、過度の賃金上昇はインフレの懸念が入るようになり、通貨価値の下落、または経済への悪影響と理解され、通貨レートを押し下げることがあります。

まとめ

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賃金は経済の状況を測る重要な指標の一つで、雇用統計に関する経済指標の公表の中に加えられていることが多いです。適度な賃金上昇は経済の順調な拡大として好意的に受け止められ、通貨が買われる場合が多くなる一方、賃金水準の停滞や下落の場合は通貨が売られる場合が多くなります。

また、急激な賃金上昇はインフレを通じて経済に悪影響を及ぼすという懸念から、通貨が売られる場合が多くなります。賃金の上昇は、それに見合う付加価値、言い換えると経済規模を示すGDPの成長率とのバランスが取れていることがポイントになります。

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