インフレとは?暮らしに与える影響を考える

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インフレは開発途上国でよく見られる経済の現象で、先進国では最近耳にしなくなりました。モノが不足するとお金の価値が下落し、普段の何倍、何十倍ものお金を払わないと売ってくれないような状況です。このような極端はインフレは経済に悪影響を及ぼすものの、インフレが常に悪いということではないようです。

インフレとは

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出典:pixabay

インフレとはお金の価値が下がり、モノの値段が上がることです。インフレが起きるケースとして好景気が長く続いたとき、モノが不足して値上げが続く時など様々です。モノが少なくなる以外に、低金利の環境のもと、お金が借りやすい状況が続いているときにもインフレが起きやすくなります。

インフレは経済成長著しい国でよく見られる経済現象です。こうした国は高い経済成長を支えるためにお金が必要ですが国民の貯蓄が少ないため、沢山のお金を発行しようとするのでお金の価値が下がりやすい環境にあります。また人口の増加に対して国内で製造するモノの供給が追いつかず、慢性的にモノ不足に陥りやすい特徴があります。

インフレは債務者の味方?

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出典:pixabay

インフレとはお金の価値が下がり、モノの値段が上がることで、お金の価値を金利としてモノの値段の上がる速度をインフレ率(物価上昇率)とすると、インフレ率が金利を上回る場合において、インフレは債務者の味方となります。具体的な例として100万円の自動車を全額借金で買う場合で確認してみましょう。

全額借金で愛車を買う

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債務者(お金の借り手)Bさんは債権者(お金の貸し手)Aさんから全額借金で愛車を100万円で買いました。借り入れの際の年利10%だったとします。

突然、年率10%のインフレに遭遇

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愛車を買って1年で予期しない年率10%のインフレが生じ、愛車の評価額は110万円となりました。この場合、Bさんは何もしないでも金利分10万円をインフレで手に入れたことになり、自分の財布からお金を出さずに済みました。

この例では愛車(自動車)としましたが、不動産投資でアパートを一棟買う場合、代金全額を金融機関から借りて、借り手が付かない場合でもアパートの評価額が借入金利を上回るインフレ率で高騰すれば、実質的な金利負担はなくなります。また、そうした状況下でテナントが入れば一気にお金持ちになれるかもしれません。

インフレにはいくつか種類がある

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インフレは生じる原因別に次のように種類があります。

  • デマンドプル・インフレ
  • コストプッシュ・インフレ

デマンドプル・インフレは需要の急速な拡大で供給が間に合わない場合におきるインフレです。コストプッシュ・インフレは賃金上昇や原材料価格、エネルギー価格値上げにより、モノの価格が高くなることによるインフレです。これ以外に輸入相手国の事情でおきるインフレ、為替レート変動でおきるインフレなどがあります。

また、物価上昇率の違いでも区別されます。

  • クリーピング・インフレーション:年2%~3%程度の物価上昇が継続する状況
  • ギャロッピング・インフレーション:年5%~10%程度の物価上昇が継続する状況
  • ハイパー・インフレーション:年10%超の物価上昇が継続する状況

インフレは人々が予想して行動する場合は実体経済への影響は少ないですが、予測できない急激なインフレが起きるとパニック状態になります。例として日本では昭和40年代のオイルショックの際にトイレットペーパー買い占めなど異常な消費行動がおきたことがあります。

インフレは経済に良くない?

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インフレはお金の価値が下がると同時にモノの値段が極端に高くなるので、良くない面がクローズアップされがちです。しかし、インフレが必ず悪かといえばそうとも言えません。適度なインフレの範囲で、インフレで生じる物価上昇を超えた賃金上昇があれば、インフレによる暮らしへのしわ寄せは感じられなくなるでしょう。

適度なインフレの元では、インフレ前より高い値段でモノが売れるので、お店の営業的にはプラスで、営業面で余裕が出れば、従業員の賃金も上がるかも知れません。上がるとすれば従業員の暮らし向きは良くなり、「もっと仕事を頑張ろう!」という気持ちになるかも知れません

インフレターゲットとは?

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インフレターゲットは金融政策によって、物価上昇率を目標値に近づけることです。インフレを一定の範囲まで下げるために行う場合と、一定の範囲まで上げるために行う場合があります。物価上昇率がマイナスの状態からプラス2%程度まで上げる目的で行う金融緩和と、物価上昇率が3%を超える場合に段階的に政策金利を引き上げる金融引締めがあります。

インフレと為替変動は関係する?

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インフレの程度を表す物価上昇率がプラス2%程度までの場合は、順調な経済状況の好感と金利引き上げ期待から通貨が買われることが多くなります。ただし、物価上昇率がプラス3%を超える段階になると、景気沈静化のために段階的に政策金利を引き上げられ、金利上昇が経済にブレーキをかけるとの懸念が強い場合、または表面上の名目金利は高金利であっても、物価上昇率の影響を除いた実質金利でマイナスとなる場合には通貨は売られます。

まとめ

物価

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インフレはお金とモノとの交換取引において、相対的にお金の価値が下がり、モノの価値が上がる現象です。適度なインフレは事業者の売り上げを増やし、賃金の上昇が伴えば暮らしへの悪影響は殆ど感じなくなるでしょう。その一方で、予測できない急速なインフレは経済活動に混乱をもたらし、暮らしに悪い影響を与えます。CPIなど物価に関する経済指標の数値が予想より高いとインフレ懸念の関係で、為替相場の値動きに影響することがあります。

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