デフレとは?安売りの弊害から考えてみた

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この記事の所要時間: 48

デフレは日本ではすでにお馴染みの言葉として定着しつつあります。「デフレからの脱却」という言葉をテレビで耳にされたことがある方は多いでしょう。このデフレ、どういう意味なのでしょうか。そもそも何が悪いのでしょうか。デフレに関する様々な疑問について考えます。

デフレとは

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デフレはモノやサービスの値段が下がり続ける経済現象です。日本では1990年代のバブル崩壊以降、こうした経済現象に見舞われてきました。モノやサービスの値段が下がり続けると、それに伴って売り上げが減り、給料や賃金も下げざるを得ない状況まで追い込まれることになり、収入が減ることでさらにモノを買ったりサービスを利用する機会が減り、デフレが進行していきます。

デフレはなぜおきる?

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デフレの要因は様々ありますが、好景気の後には過剰投資や過剰生産のために資金繰りが悪くなりがちです。好景気が続くと見込んで先行投資や沢山の在庫を抱えてしまうと、投資を回収できなかったり、モノが売れなくなると資金不足に陥ります。

こうなってしまうと、資金の回収のために、多くのお金を投資して作った建物や買った土地、余った在庫をとにかく売るために赤字覚悟で売却しはじめます。そうした風潮が経済をデフレに向かわせると考えて良いのではないでしょうか。

それ以外の要因として、「欲しいモノがない」「将来に備えてムダな買い物はしたくない」といった漠然とした将来への不安から貯蓄する人が増えていることがあるかもしれません。価値観の多様化で、贅沢な暮らしを志向する人が以前より少なくなったこともあるでしょう。

デフレは経済に良くない?

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出典:pixabay

デフレはお金の価値に対して、モノの価値が下がり続ける状況です。売れない商品を在庫に抱えていても商品の保管の費用負担が生じたり、商品によっては古くなって魅力が無くなることがあります。そこで値下げして売ろうとしたとしてどのようなことになるのでしょうか。

値下げによる売上の変化

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商品を値下げすると、販売数量と売上金額の関係において、値下げ前の赤い売上線が値下後の黒い売上線へとシフトします。

仕入れ先との交渉は成功したが

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デフレで原材料費が安くなったり、仕入れ価格の値引交渉がうまくいって以前より安い値段で商品の仕入れができたとしましょう。しかし、こうしたことによる費用削減効果はほんの僅かです。お店の費用の多くは、店員さんの賃金や給与といった人件費、または店舗を運営するための地代家賃や水道光熱費などの固定費です。こうした固定費の部分は大きく削減することは難しいです。

結局はこうなった

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値下げした分、仕入れ原価を少し安くできたとしても販売努力によって当初より多く販売しなければ赤字になってしまいます。利益がゼロの場合について、値下げ前は下向き、値下げ後は上向きの矢印の場所まで販売数量を増やして赤字は逃れたとしても利益ゼロで、販売努力の見返りはありません。値下げしなければ販売努力で得られたであろう紫色の三角の部分の利益が、値下げによって吹き飛んでしまったからです。

買う側のお客さんには嬉しい値下げですが、売る側には利益を吹き飛ばす行為でしかありません。売る側の店の収益が悪くなれば、そこで働く人の賃金や給与を下げなくては倒産してしまいます。また店で働く人は勤務時間が終われば買う側のお客さんです。賃金や給与が少ないのであればさらに値下げした商品でない限り、節約してお金を使わなくなるでしょう。こうしたことの繰り返しで経済活動が収縮してしまい、巡り巡って誰もが「じり貧」になるのがデフレという経済現象です。

デフレと為替変動は関係する?

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デフレはモノやサービスの値段が下がり続ける経済現象で、相対的に通貨の価値を押し上げます。よって経済の状況が良くないにもかかわらず、通貨は価値が上がっているとして買われる場合があります。また、表面上の金利である名目金利は殆どゼロであって通貨の魅力が無いように見えても、デフレではマイナスの物価上昇となっていることから、実質金利はプラスとなっていることがあり、そうした理由でもデフレに陥った国の通貨が買われることがあります。

まとめ

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デフレはモノやサービスの値段が下がり続けることで、買う側にとっては都合良く見える現象ですが、買う側の財布も冷やす効果があることに注意が必要です。デフレは様々なモノやサービスが手に入りやすい経済先進国で見られることも特徴の一つです。日本では長引くデフレからの脱却が経済政策の重要な目標となっていて、これまでに様々な施策が講じられてきています。

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