相関係数とは?トレードへの活かし方と注意点まとめ

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この記事の所要時間: 414

トレードにおいて沢山の通貨ペアを選ぶことができますが、通貨の売買を各通貨ごとにチェックしてみると、同じ様な特徴を持つ通貨とそうでない通貨があることがわかります。こうした通貨のグループ分けに使える尺度の一つに相関係数があります。

相関係数とは

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出典:pixabay

相関係数は相関の関係を数字で表したものです。相関は2つ以上のモノに関して、お互いにどのくらい似ているのかを示す尺度です。よく使われる例に原因と結果の因果関係を表す場合、具体的にはタバコと肺がんの発生率の関係や、交通事故と飲酒の関係など様々な場面があります。

投資の世界だと、投資銘柄を選ぶ際に、この相関および相関係数は重要です。相関には一般に次の三つがあることがわかっています。

  • 正の相関:0<相関係数<+1
  • 負の相関:-1<相関係数<0
  • 相関なし:相関係数≒0

正の相関:0<相関係数<+1

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draw by:Author

二つの異なる銘柄について、一方の銘柄の値上がりに対し、もう一つの銘柄も値上がりする場合、「正の相関がある」と言われます。

負の相関:-1<相関係数<0

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draw by:Author

二つの異なる銘柄について、一方の銘柄の値下がりに対し、もう一つの銘柄が値上がりする場合、「負の相関がある」と言われます。

相関なし:相関係数≒0

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draw by:Author

二つの異なる銘柄について、一方の銘柄の価格変動がもう一つの銘柄の価格変動に殆ど影響しない場合、「相関なし」と言われます。

相関係数を活かしたトレード

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出典:pixabay

正の相関がある銘柄同士はアービトラージまたは裁定取引という低リスクで確実に利ざやを稼げるトレードが有効となる場合が多いです。また負の相関がある銘柄同士はそれらを同時に持つことで、投資銘柄全体の価格変動リスクを平準化することができます。

アービトラージ

アービトラージは正の相関がある銘柄同士で価格の乖離が生じた場合、その乖離を解消しようとする値動きがおきる可能性が高いことを利用して、値の高い銘柄を売り、値の下がった銘柄を買う両建てをすることで確実に利益を狙うトレードです。

投資銘柄全体のリスクを平準化

例えば金利は日々変動して株式や国債などの債券の価格に影響を与えます。一般に金利とこれらの投資銘柄には負の相関として、次の関係があります。

  • 金利が下がる:株式価格上昇、債券価格下落
  • 金利が上がる:株式価格下落、債券価格上昇

金利の変動に対して、銘柄同士互いに反対方向の値動きをすることを利用し、これらを一緒に保有しておくことで投資銘柄全体のリスクを平準化し、投資銘柄全体で最大の利回りとなるように投資銘柄の構成比率を変えることは投資信託などでよく行われています。

相関係数は通貨ペアで違う

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出典:pixabay

相関係数は通貨ペアごとに日々変動します。一例として通貨ペアごとの相関係数を松井証券株式会社のホームページ(https://www.matsui.co.jp/market/fx/correlation/)で確認してみましょう。本記事の執筆時点でクロス円の通貨ペアで次のようになっています。

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データ出所:松井証券ホームページ

資源国であるカナダの通貨、オーストラリアの通貨や地理的に近いアメリカとカナダの通貨、ユーロとイギリスの通貨、およびオーストラリアとニュージーランドの通貨間に強い正の相関が見られます。次にドルストレートの通貨ペアを確認してみましょう。

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データ出所:松井証券ホームページ

ドルストレートの通貨ペアでは、ユーロドルとドル円に負の相関、ユーロドルとポンドドルに正の相関、それら以外にもさまざまな相関が確認できます。両建てをすることで、正の相関にある通貨ペア同士のアービトラージ、負の相関関係にある通貨ペア同士のリスク軽減を図るといったトレードができます。

トレードの注意点

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出典:pixabay

通貨同士の相関関係は常に同じではなく、様々な要因で変動しています。また相関係数は過去の数ヶ月といった長い期間の終値から算出していますので、数ヶ月単位の長期保有を前提にしたトレードでは有効な場合がありますが、その日にポジションを決済するデイトレードや、瞬間の値動きで売買するスキャルピングでは有効でない場合もあります。

まとめ

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出典:pixabay

通貨同士の相関関係を利用したトレード手法は、通貨相互の強さの違いを利用したトレード手法とともに、トレード成績を向上させることがあります。通貨ペアの値動きを気にしつつも、こうした通貨同士の関係性を考慮して値動きの予想を立てながらトレードすることも、厳しい相場で勝ち残るためには必要かもしれません。特にリスクを低くするという点において、通貨同士の相関関係を知っておくことは重要と言えるのではないでしょうか。

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