ギリシャはEU加盟国で、ヨーロッパの東の入り口に位置し、独自の文化と歴史を有する国です。単一通貨ユーロが導入されEU28か国のうち19か国で使われていますが、そうした国の一つでもあります。
ギリシャ危機とは

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ギリシャは2002年にユーロ導入を果たしましたが、財政赤字を抱える南欧の国の一つであり、隠蔽されていた財政赤字が明らかとなって国債価格が暴落、そのことを契機にユーロが暴落したのがギリシャ危機です。
この危機に対して、IMF・EUによる金融支援が決定、実施されましたが、その際の条件として増税と年金を含む各制度の改革が求められました。その結果、財政状況は改善に向かいましたが国民生活は苦しくなり、EUが求める緊縮財政に反対する政党の躍進、そしてEUとの交渉の行き詰まりを経て、一時はギリシャがユーロ圏から離脱する可能性もありました。
最終的にはギリシャ議会が増税や軽減税率の廃止を含めた改革案を承認し、必要な金融支援を受けることで当面の間、危機は回避される見込みとなりました。
ギリシャ危機の背景

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ギリシャはユーロ圏に湿る経済規模が3%に満たない国である一方で、年金など手厚い社会保障や公務員への厚遇で財政負担が高いことで知られてきました。地理的にはロシアとも近く、ロシアに対する地政学リスクの点からギリシャをユーロ圏から離脱することは、中長期的にはユーロ加盟国にとってリスクと判断され、財政収支のアンバランスが長年放置されてきたことが、ギリシャ危機の背景の背景にあるとされています。
ギリシャ危機の影響

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ギリシャ危機の影響はギリシャ財政への不安からギリシャ国債が大量に売られることによる価格の暴落、ギリシャ国債を買っていた諸外国がデフォルトのリスクに直面することになり、そうした不安がユーロ圏内全体に拡大することで域内の単一通貨であるユーロの大幅なレート下落が生じました。
その後、IMFやEUからの金融支援、当事国ギリシャの財政状況改善の為の各種の制度改革への期待からユーロの価値は落ち着きを取り戻しつつありますが、同様の懸念があるイタリア、スペイン、ポルトガルといった南欧の国でユーロ圏にある国についても疑念をきっかけにしたユーロの価値下落懸念がくすぶっているようです。
こうした問題は、経済規模が違う国々を一つの通貨価値をもつ単一通貨で統合しようとする取り組みへの歪みとして、今後も調整していくテーマと思われます。
まとめ

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ギリシャは地理的な位置として、EUの脅威とされている大国ロシアや、宗派間の争いが絶えない中東諸国、その中東諸国と対立しているイスラエルなどに近い場所にあり、ヨーロッパの東の入り口であるとともに、EUの安全保障において重要な国です。ギリシャ財政が健全化に向かうことはギリシャは勿論、ヨーロッパ全体の安定につながるので、今後もその動向は注目されるでしょう。

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