政府が行う経済政策で注目されるのは、予算を実行することで行われる財政政策ですが、その財政の財源となるのが税金。減税は歓迎ですが、増税はイヤなもの。消費税のアップを控え、税金に関心が集まっていますが、増税や減税は経済にどのような影響をもたらすのでしょうか。
増税とは

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増税とはすでにある税制度の税率がアップすること、または新しい税制度が設けられることです。増税は暮らしや会社の収益に直接悪い影響を与えるので、誰にとってもイヤなものです。近い将来、消費税が段階的に増税されることが法律で決まっていますが、経済への悪影響があることから増税の時期が先送りされました。
一方、税金を使う側の行政の効率化の方はなかなか進まず、税金の支出の多くを占める公務員の給与はいつの間にかアップ。また、少子高齢化の進行で、年金や医療、介護など社会保障関連費が年々増加し、財政赤字は拡大を続けています。
減税とは

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減税とはすでにある税制度の税率を下げること。一般減税と政策減税に分けられ、一般減税は一律に減税を実施するもので、政策減税は政策目的で実行される減税です。政策減税で暮らしに関係するものに住宅ローン控除などがあります。住宅ローン控除はマイホーム取得でローン負担をする人の所得税に対する一般減税で、一定のローン残高があれば、その残高に定率を乗じた分、所得税から税金が控除されます。
減税が行われる場合、日本では見返りが伴わない一般減税が行われることは少なく、経済活性化や景気刺激のための消費喚起、投資促進などの政策的な目的を背景に実施されるケースが多いです。住宅ローン負担者への減税はマイホーム取得を促進することで、新しい住宅の建設が増え、それに伴う経済活性化を狙ったものと言えますし、NISAは株式で得た収益に対する減税を行うことで投資による経済活性化を狙ったものと言えるでしょう。
増税するとどうなる?

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増税されると余分に税金を払わなければならないため、その分お金が減ります。家計であれば増税分のお金が貯蓄から減るでしょうし、貯蓄がなければ生活費を切り詰めて、納税するお金を生み出す必要が出てきます。企業にとっても同じ事で、余分に税金を払わなければならない分、最終的な利益が減ってしまい、経営や資金繰りの面でマイナスでしょう。
経済の面から言えば、増税が実施されると消費、投資共に減ってしまって悪影響が出ます。その悪影響は結局は税収を減らし、増税を実行した行政当局に跳ね返ってくるでしょう。安易な増税で財政が良くなると考えるのは正しいとはいえません。
減税するとどうなる?

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減税されると、これまで払わなければならなかった税金を払わず済むため、その分お金が残ります。家計であれば減税分のお金でモノを買ったりサービスを利用したり、貯蓄するでしょう。企業にとっても同じ事で、税金を払うためのお金の工面の負担が軽減され、経営や資金繰りの面でプラスでしょう。
経済の面から言えば、減税が実施されると消費、投資の面で良い影響が出ることが多いです。減税を上手に利用すれば経済を上向かせ、減税した分以上に税収が増えるかも知れません。ただし、日本の政治家、政府や有識者には減税による経済活性化に慎重な人が多いのではないでしょうか。
増税と減税が為替に与える影響

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増税と減税、共にメリットとデメリットがあります。よって増税が行われたり、減税が行われたりする場合の外国為替市場関係者の受け止め方も様々。財政赤字が膨大なら増税の実施は財政破綻の危険が減るので歓迎されますが、景気への悪影響はネガティブな材料となります。財政赤字がそれほど大きくなければ減税しても財政破綻の危険はそれほど大きくはないととらえられることがあるでしょうし、景気への良い影響はポジティブな材料となります。
政策の実施でどのような値動きをするかは、国ごとの財政状況と経済状況によって違いがあり、ケースバイケースとなることが多いと考えられます。また、増税するにしても、減税するにしてもその規模がどの程度かによって市場の反応は違ってくるでしょう。適度なら評価されるかもしれませんが、過度なら不安を感じるかもしれません。
まとめ

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国民にとって最大といっていいほど関心が高い税金の話ですが、巨額の財政赤字を抱える日本の政治家や官僚、有識者には増税派が多そうです。増税は景気や経済に悪影響を及ぼすことはあっても、良い影響を与えることはまずありません。一方で減税をするにしても、実施によって景気や経済への良い影響を通じて財政を良い方向に向かわせる結果が伴わなければならないでしょう。増税か減税かの判断は、いつの時代でも難しいと言えるのではないでしょうか。

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