チャート上の値動きは、一見するとランダムに見えますが、よく見ると山と谷を作りながら一定の方向に進んでいる場合があります。こうした状況において、山の頂点と谷の底を確認し、山の頂点同士や谷の底同士を線で結んで作成するトレンドラインに一工夫加えることでさらに使いやすくなる場合があります。
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トレンドラインとは

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トレンドラインは、値上がりまたは値下がりへの方向に、高値と安値の波を繰り返しながら切り上がり、又は切り下がりを繰り返して変動する相場において、切り上がりの場合は波の谷、切り下がりの場合は波の山を結んで描かれる直線です。
トレンドラインは引き方は人によって千差万別で唯一というラインというものがありません。従ってトレードに使えるトレンドラインを引けるようになるまで、試行錯誤を繰り返すことが多いですし、ある程度経験が必要です。しかし、システムトレードツールには自動的にトレンドラインを引いてくれるインジケータがある場合もあるので、利用してみてもいいでしょう。
トレンドラインが有効な場合

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トレンドラインはトレンド相場と呼ばれる、値動きが一定方向に向かう相場環境で機能します。値上がり方向へのトレンドの場合は「押し目買い」、値下がり方向へのトレンドの場合は「戻り売り」の手順でエントリーと決済を繰り返すことで利益を積み上げることができます。
トレンドラインが有効な相場がいつまでも続くことはなく、値上がり方向へのトレンドの場合にはレートがトレンドラインを下抜けした場合、値下がり方向へのトレンドの場合はレートがトレンドラインを上抜けした場合がトレンドの終焉とともに、レンジ相場への移行のシグナルとなります。
トレンドラインだけで勝てるか?

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トレンドラインを使ったトレードは、初心者にもエントリーと決済のタイミングがわかりやすいのが特徴。ただし、トレンドラインだけで勝てるほど相場は単純ではありません。また、トレンドの有無の判断はなかなか難しく、特に短い時間足を使ってトレードしている場合は、トレンドを模した値動きに騙される場合が多くなります。
よって、トレンドラインを使ってトレードする場合はある程度の大きさ以上の時間足を用い、トレンドの信憑性をチェックできるインジケータも合わせて表示してトレードするほうがいいでしょう。具体的なインジケータとして、トレンド系なら移動平均線、オシレーター系ならRSIなどが使えます。
トレンドラインをチェックする3つの手法

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トレンドラインを使ってトレードする場合に有効なチェックの手法をご紹介します。チェックの手法の内容は次の三つです。
- 日足5日移動平均線、1時間足120時間移動平均線の導入
- ダウ理論を意識する
- 相場の天底を示すローソク足のパターンを意識する
トレンドラインはある程度の大きさを持つ時間足のチャートでより機能します。ここでは日足で方向性確認、1時間足のエントリーと決済を前提とします。移動平均線をトレンド有無のフィルターとして使い、ダウ理論とローソク足のパターンでトレンドの終わる兆候をチェックします。
移動平均線で1週単位のトレンドチェック

FXで1週というのはキリのいい数字です。週を超えてポジションを持ちたくないという人が多いので、トレードの一つの単位とできるでしょう。1週は土日を除き5日、120時間(=5日×24時間)です。全体把握用の日足チャートに5日移動平均線、エントリーや決済用の1時間チャートに120時間移動平均線を表示します。

日足チャートを見てローソク足と5日移動平均線の位置関係を確認します。ローソク足より移動平均線が下なら上昇トレンド、上なら下落トレンドと判断します。1時間チャートについても120時間移動平均線との位置関係で同様のチェックをします。ローソク足を見てトレンドラインを引いてみたときに、次の場合はエントリーを見合わせます。
- 移動平均線で上昇トレンド、トレンドラインは下落トレンド
- 移動平均線で下落トレンド、トレンドラインは上昇トレンド

理由は移動平均線によるトレンドと、トレンドラインを引いてみた場合のトレンドの方向性が違っていると、不安定な値動きを示す場合が多いからです。
ダウ理論を意識する
ダウ理論はチャールズ・ヘンリー・ダウの提唱した株式市場の分析でよく使われる基本法則で、次の6つがあります。
- 平均はすべての事象を織り込む
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
上記のうち、特に注目したいのが「6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」です。上昇トレンド、下落トレンドは次の状態です。
- 上昇トレンド:直近の安値と高値が切り上がる形で更新が続いている状況
- 下落トレンド:直近の高値と安値が切り下がる形で更新が続いている状況

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これらの状況が終わる明確な転換シグナルとして、上昇トレンドの場合はトレンドラインを価格が下抜けした時、下落トレンドの場合はトレンドラインを価格が下抜けした時になります。
これに対してトレンドの始まりを判断する目安が「直近の安値と高値の更新」の有無です。この場合、更新したかどうかの判断はローソク足のヒゲではなく、実体部分の終値で判断するほうがより確実です。「直近高値を陽線終値が更新」した時、「直近安値を陰線終値が更新」した時からトレンドラインを引いていき、トレンドラインにタッチした時がエントリーするタイミングの目安となります。
天底を示すローソク足のパターンに注意

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エントリーする際に必要なのが天底を示すローソク足のパターンが発生していないかどうかのチェックです。こうした天底を示すローソク足のパターンが明確に出ている場合は、他のトレーダーからは意識されやすく、強く意識されるほどトレンドが終焉する可能性が高いので、エントリーは見合わせるほうが無難です。
まとめ

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トレンドラインは相場の状況によってはとても有効なツールとなりますが、一方でローソク足の並び方の確認など相場の見極めが重要になります。トレードの発生の有無やその方向の確認を正しく行うテクニック、ダウ理論などとの合わせ技で、トレンドラインはさらに効果を高めることができるでしょう。移動平均線以外にもトレンドの有無をフィルターできるインジケータは沢山ありますので試してみてはいかがでしょうか。

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