スワップという取引は普段行う売買取引と比べてなんとなくわかりにくい感じがあります。そもそもこの取引は、儲けるための取引としてではなく、将来への備えや保険としての役割が大きいと言えます。実質的に金利に準じたインカムゲイン狙いのためにスワップ金利に注目している方は多いと思いますが、金融状況によっては思わぬ落とし穴があるので注意が必要です。
スワップとは

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スワップとは交換すること。スワップする目的はリスクを減らしたり、有利な取引をする目的で行われています。スワップの対象となるのは金利や通貨の他にもさまざまあり、特に金融の世界では、将来時点で予想される状況を想定し、その条件で有利となるように現時点で契約を結び、将来時点の様々な状況において不利な取引とならないように備える場合が多く見られます。
スワップが使われているケースとして、金利の場合だと固定金利と変動金利のスワップ、外貨証拠金取引(FX)におけるスワップ金利の付与がよく知られています。通貨の場合だと二国間で自国通貨のスワップ契約を結ぶ通貨スワップなどが、自国の外貨不足による対外貿易上のリスクを避ける目的で利用されています。
スワップの特徴

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スワップの特徴として、売買取引と比べて次のことがあります。
- スワップは当事者間の合意に基づく相対取引であるのに対し、売買取引は売り手と買い手の合意に基づく市場取引
- 金融の場合、スワップは「同じ価値を持つ資金の流れ」の交換を意味するので売買取引のようなキャピタルゲインは基本的に生じない
スワップは売却ではなく、あくまで交換なのでその時点においてキャピタルゲインは基本的に生じないと考えられます。しかし、交換した時点以降において「同じ価値を持つ資金の流れ」が将来的な経済金融環境の変化によって有利に働く場合と不利に働く場合があり、現時点の契約内容における将来時点の状況判断が重要と言えるでしょう。
売買取引でも現物取引の場合はスワップとの違いが明確ですが、先物取引の場合はスワップと様相が類似してきます。
スワップのメリット

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スワップのメリットは想定したリスクが現実になった時に発動することで、リスクによる損失の発生を一定範囲に抑えることができることが最大のメリットです。売買取引のように積極的に利益を狙っていくというよりも、むしろ損失を如何におさえるかにポイントがあります。
また、想定したリスクが現実にならなくても「同じ価値を持つ資金の流れ」の交換によって、予定したインカムゲインは同じく得られるので、リスクに対する保険をかけながら、現状のインカムゲインを将来にわたって享受することができます。
スワップの注意点

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スワップは「同じ価値を持つ資金の流れ」の交換を意味し、スワップ契約の時点では資金の流れを生み出す資本にキャピタルロスは発生していません。しかし、スワップ契約以降の経済金融状況の変化によってこうした資本の価値が目減りしてキャピタルロスが生じるケースがあります。
「同じ価値を持つ資金の流れ」としてのインカムゲインは変わらず得られているとしても。そのインカムゲインを相殺するキャピタルロスが生じるケースがあり、こうした事例は経済発展で高金利が魅力の新興国通貨においてよく見られます。
スワップは外需依存国の保険?

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スワップは内需の規模が小さく、経済発展の基礎を外需に依存している国にとっては切実な問題で、輸出によって得られる外貨が輸出が不振となって不足してくると、外貨による決済が難しくなり経済への悪影響が懸念されます。特にお隣の国、韓国では日本円が対ドルレートで円安に傾いて以降、競合する日本との輸出品の価格競争上のメリットが活かせなくなり、基軸通貨であるアメリカドルを如何に調達するかが喫緊の課題となっているようです。

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